12月18日 今年最後のゼミ

こんにちは。3年の山本です。

今年ももうすぐ終わりです。今年度のまとめである、個人研究に取り組む時期になりました。今回はそれぞれの案について発表しました。

久しぶりのぜんまいは4年生のあかりさんが担当でした。

アメリカのドラマ『LOST』を紹介していただきました。映画やドラマ好きのゼミ生が多くて、Netflixなどを使っている人がかなりいます。
自分は映画、ドラマの演出にすぐドキドキしてしまうので、あらすじを聞いただけで不安になってしまいました。

次回は展覧会準備なので、ぜんまいは今年度最後でした。色々な話を聞いて、知らないことを学べるのはとても楽しかったです。

個人研究の発表の前に、学会で審査員の先生に評価して頂いたシートをいただいたので、見ながら反省会を行いました。

PDFを見ながら話し合い。
外部の人から反応をいただくことができる環境は本当にありがたいです。同時に、学会という場に作品を出すことの難しさも感じました。

反省会ではさまざまな改善点を見つけることができて、有意義な時間になりました。来年度のゼミ生で話し合いはしようと思いますが、次回の学会や制作全体に生かしたいです。

反省会のあとは、個人制作案のプレゼンです。

個性豊かな3年生のプレゼン。
それぞれの得意分野を生かした作品ができそうです。
先輩方のプレゼン。
集大成ということで大がかりなものが多そうで、自分も観るのがとても楽しみです。今までやってこられたことからつなげたり、発展させたりした案が多かったです。

展覧会は1/8から1週間行います。なにかと忙しい年末年始ですが、計画的に進めたいです。

最初に書いたとおり、今回は2019年最後のゼミでした。去年の今頃はSAまっただ中だったということを考えると、時の流れは早いなと感じます。

中之条ビエンナーレ、学会、そのほかの活動を無事に終えることができて良かったです。来年はゼミにとってどんな年になるか、とても楽しみです。

12月11日 クリスマス

こんにちは。3年山本です。

学会の発表では、たくさんの方々に来ていただきました。また稲垣ゼミからは、映像部門で最優秀賞、インスタレーション・パフォーマンス部門で奨励賞をいただくことができました。ありがとうございました。学会については、また改めて投稿させていただきます。

今回は学会の打ち上げも兼ねたゼミ恒例・クリスマスパーティーを行なったので、それについて書きます。

ケーキ作りの様子。きれいに飾りつけるのは、意外と難しいです。

最初にケーキのスポンジを買ってきて、その飾り付けをしました。自分たちのぶんの他、いつもお世話になっている資料室・学部窓口の方々のために一つずつ作りました。

ケーキも作れるゼミなので、お菓子作りが好きな人も活躍できます。たぶん。
高校生の時は、大学のゼミでこんなことをするとは思っていませんでした。
完成です。ぶどうケーキとチョコケーキを渡します。左上はゼミ用です。
ゼミのケーキの土台は、3年の佐野くんが作ってきてくれました。

出来上がったので、資料室と窓口に届けに行きました。

資料室です。
学部窓口です。
お渡しした様子が学部のツイッターに載っています。

その後は、お菓子などを買ってきてパーティーをしました。

かなり豪華になりました。
学会で展示したものは、ビンゴ大会の景品として全て引き取られました。
楽しい時間を過ごせました。

12月7日 国際文化情報学会振り返り 展示の様子

国際文化情報学会での様子を紹介します。

「太陽の楽園」の展示中です。
映像部門の発表や学生審査員で抜けている人が多く、少ない人数で回さないといけなかったので大変でした。質問されることが多く、観に来てくださった方との対話は大事だと感じました。
疲れがみえます。
「Sulata vesiドキュメント」の準備中です。
中之条で行った時のような設備はないので、設置方法はそれぞれ工夫しました。
たくさん人が来たので、全員総出で説明しました。
審査員の先生方に説明中。
正直とても緊張します。来年は練習しておきたいなと感じました。
表彰式です。展示が終わってその日のうちにここまで行われるので、長い1日でした。
賞状をもらうみくりやさんです。
自分はゼミ長(10月に山本に交代しました)として賞状を受け取りました。
先生に囲まれたので緊張しました。
学部パンフレットの表彰式も同時に行われました。みくりやさんが賞をいただいていました。
おつかれさまでした!

学会はとりあえずひと段落しましたが、今年度最後の課題として個人研究・展覧会があります。切り替えて頑張りたいです。

展覧会は1月8日(水)〜15日(水)、外濠校舎1階のメディアラウンジで行われます。来ていただけると嬉しいです。

12月7日 国際文化情報学会振り返り 作品紹介

国際文化情報学会にて、稲垣ゼミからは映像部門に二つ、インスタレーション・パフォーマンス部門に二つ、計四作品出展いたしました。そのうち二作品賞をいただくことができました。

今回は、インスタレーション二作品を紹介させていただきます。

「太陽の楽園」

【約30個のオブジェ、映像3つから構成されるインスタレーション作品。それぞれ「表象」には一見関連性が見られないが、ある社会的テーマに沿って集められたものである。観客には「表象」との対話を通じ、そのテーマを推測してもらう。】

【最後にお渡しした冊子およびペーパーから、こちらのブログにアクセスすることができます。12月7日投稿記事に「ネタバレ」が載っているのでご覧ください。】

秋学期ずっと取り組んでいたのはこの作品です。かなり難しいテーマを扱うことになり、正直言うとやり残したこともいくつかあって(審査員の先生方からもご指摘がありました)反省点がたくさんあります。展示台の作成などやることがたくさん出てきて、計画的に進めるのが大事だということを実感しました。

結果には繋がりませんでしたが、大量の「表象」が並んでいる様子は圧巻でした。観てくださった方だけではなく作った側にも、様々な学びをもたらす作品になったと感じます。

「Sulata vesiドキュメント」

【中之条ビエンナーレ2019出展作品。アートユニット「Sulata vesi」が群馬県中之条町で行った活動及び制作した作品を調査し、再現。】

こちらは奨励賞をいただくことができました。また展示時間中にも多くの人が来られて、とても嬉しかったです。

一度行った展示ですが、会場が異なり学会という場での発表ということで、最終的にはかなり多くの部分を変更・ブラッシュアップしています。「太陽の楽園」と並行した準備はなかなか大変でしたが、結果に繋がり嬉しく思います。

中之条の雰囲気を都会である東京に運んできて、大学の方々に直接観ていただけたというのは、この作品にとって良いことだったと思います。

今年はインスタレーション作品を二つ出しましたが、どちらももっと詰められたり、足りなかったりしたところがあったと思います。賞はいただけましたが、稲垣先生も決して満足されているわけではなく、改善点はたくさんあります。今年の経験を来年に活かして、より良い作品を作れるようにしたいです。

観に来てくださった皆様、ありがとうございました。

『太陽の楽園』表象一覧

本日、国際文化情報学会で展示いたしましたインスタレーション作品『太陽の楽園』表象の一覧です。

【テキスト】

1
「当初はそこまで自分のことをあけすけにしてしまうのはかなり難しかったともジョナサンは振り返っているが、1度腹を据えてしまうと、ずっと言ってみたかったことを実際に表現してしまうことがおもしろくなってきて、自分の生い立ちや人生についても今まで気づいていなかったようなことをいろいろわかってくるという経験になったとか。」
 
『ザ・ドラムスのジョナサン・ピアース、何も包み隠さないことがバンドのサヴァイバル術だと語る』、2011年、ロッキングオンドットコム
 
ニューヨークのバンド、The Drumsのジョナサン・ピアースのインタビュー記事。
彼は現在、自身がゲイであることを公言しているが、もともと彼は敬虔なキリスト教徒の生まれであり、保守的な両親のもと、セクシュアリティな部分については開放的ではなかった。
自分のゲイを公表してから、今まで包み隠していた部分や、触れてこなかった部分を表現することができるようになったと語っている。
 
2
「…それは、白黒はっきりさせる二項対立的な思考ではなく、第3項あるいは第4項、第5項……第n項―、あるいはこう言ってよければグレーゾーンを存在せしめる思考だと言えよう。」
 
蘆田裕史『白でもなく、黒でもなく』(美術手帖2017年11月号より)
 
これは、蘆田裕史(あしだひろし。京都精華大学ファッションコース専任講師。ファッションの批評誌 「vanitas」編集委員。)による、エクハウス・ラッタのファッションショーの在り方からみる現代のジェンダー論やクィア・スタディーズについてのコラムである。
エクハウス・ラッタ(ECKHAUS LATTA)は、マイク・エクハウスとゾーイ・ラッタが手掛けるブランド。ショーでは、モデルも年齢、性別、人種に縛られず、妊婦まで登場することもある。白でも黒でもない灰色のファッション・デザインであることから、これからはその領域の探求が重要になってくるだろうと、彼は語っている。
 
3
「もしかすると僕は何も気づいていなくて、思っているよりずっと遅く始まったのかもしれない。
さまざまな兆候をようやく自覚して、ああ、これが欲望だったのかと思う。どうしてわからなかったのか?欲望を感じたら自分でわかるはずなのに今回は少しも気づいていなかった。 」

 
アンドレ・アシマン 『君の名前で僕を呼んで』2007 年、マグノリアブックス
 
これはエリオがオリヴァーへの感情がいつ芽生えたのかを回想する場面である。小説『君の名前で僕を呼んで』は、アンドレ・アシマンの小説で、その一部は映画化もされている。この物語は主人公のエリオが、17歳の夏にオリヴァーと過ごした日々を思い返す場面から始まる。毎年、夏休みになるとエリオの家に滞在する若い研究者のひとりでしかなかったオリヴァー。彼の最初の印象は、好きになれるかもしれないし、大嫌いになるかもしれない男だった。しかし、すぐにエリオは彼から目が離せなくなる。互いに心が通じながらも、すれ違い、戸惑う二人の恋模様を描いている。
 
4
「本当の自分探しって、しょっぱい思いをすることそのものであって、泣いたりわめいたり怒ったりしている姿そのものが本当の自分で、それ以下でもそれ以上でもないんだと思うわ」
 
中村うさぎ、マツコ・デラックス『うさぎとマツコの往復書簡』、2010年、毎日新聞出版
 
本当の自分探しは特に進路を決める大学生の私達にとって身近で大切なステップだろう。その中でしょっぱい思いをするのは当たり前である。しかしそれを彼女が言うとまた違う意味が生まれよう。マツコ・デラックスは今では有名なコラムニストにしてタレント、そして女装家である。
 
5
「世間の人は性欲の虎を放し飼いにして、どうかすると、その背に騎って、滅亡の谷に落ちる」
 
森鴎外『ヰタ・セクスアリス』、1909年

ラテン語でヰタ・セクスアリスは性欲的生活という意味である。20世紀初頭に発表された際は政府から卑猥な小説とされ発禁処分を受けるが、実際には性行為が直接描写されることは無く、主人公の哲学者である金井が、自らの性的体験について哲学的視点から考える内容となっている。中には美少年を愛好する男性同性愛的視点も描かれている。
 
6
“Ending violence and discrimination against individuals on the basis of their sexual orientation and gender identity is a great human rights challenge”.
性的指向や性同一性に基づく個人への暴行や差別に終わりを告げることは人権にとっての偉大な挑戦だ。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)”BORN FREE AND EQUAL -Sexual Orientation and Gender Identity in International Human Rights of Law”, 2012年

国連もLGBTQの人々の人権を改めて確認している。国連のHPを見ると、60ページにも及ぶブックレット”BORN FREE AND EQUAL -Sexual Orientation and Gender Identity in International Human Rights Law-“を英・仏・西・露・刺・中の六か国語で掲載している。

7
「「あ、ほんまに来たな」っていう感じ。だけど、やっぱり、「成就した!」っていうか、「私はこれを求めていたのかもしれない」って思った、すごく。それまでも、相手のことを大事に思うとか「同志になりたい」とかいろんなことを言ってきたけど、「結局、この一瞬にはかえられないな」っていうぐらいの感動があった。」
 

笹野みちる『Coming OUT!』、1997年、 幻冬舎
 
笹野みちるが高校二年生の修学旅行にて、帰りの船の中で起こった出来事について語った。これは当時気になっていた女の子と初めて体のレベルで接触した時の感動を綴っている。
 
8
「それにあの頃、歌を聴いても、小説を読んでも、「私」っていうのはどうしても、「女」の匂いがすごく強くて、「性」を超えられないような感じがしていた。その点、「僕」っていうのは、「男」でもないけど内省的な響きを持ってて、短くて、歌に入れる時には使いやすいっていうよさがあった。」
 
笹野みちる『Coming OUT!』1997年、幻冬舎
 
笹野みちるが人生のキーワードとしている「人間として」について語られている第六章。歌を作る際に抽象的で一般的な「自我」を表現するために「私」ではなく「僕」を使うことについて綴られている。

『Coming OUT!』は1988年にデビューし、人気盛りの91年に解散してしまった元”東京少年”のボーカリストである笹野みちるが、メジャーシーンの女性アーティストとして、の本で初めて”レズビアン”であることをカミングアウトするエッセイ。従来の性愛観を突き抜けた女同士の体験的恋愛論が、爽やかな共感を呼ぶ。
 
9
「仕事の腕は一流だったので、多くのクライアントがつき、収入も安定していた。有名なピアニストが彼を指名することもあった。大学町の一角に2ベッドルームのマンションを購入し、そのローンの返済もおおむね終わっていた。上等なオーディオ装置を持ち、自然食の調理に精通し、週に五日はジムに通って贅肉を落とした。」
 
村上春樹 『偶然の旅人』(短編集『東京奇譚集』収録)、2005年、新潮社
 
この文章は『偶然の旅人』の中で描かれる「彼」の人物像を紹介しているものである。
この小説は「村上」という男性が語り手となり、ピアノの調律師であるゲイ男性の「彼」と呼ばれる知人の遭遇した「偶然に導かれた体験」を聞き、語るというものである。同性愛者とはいえども、一般的な「ゲイらしさ」とはかけ離れた「東京で生活する善良な市民」のようなイメージで主人公が描かれる。
 
10
「光たちはピンクやブルーや黄緑色や、そんなふうに薄くてきれいないろいろな色をしていて、まるで呼吸するように大きくなったり小さくなったりして、真ん中がいちばんよく光っていて、まわりに広がるにしたがってどんどん薄い乳白色になっていくのだが、その薄い部分はかなり遠くまで広がっていて、他の光と重なり合ったりしているのだった。」

11
「片岡さんの光はまっ黄色で、卵の黄身のような色をしていた。大きく丸く光っている。そして楓の光はラベンダー色で、繊細な光を発していた。今にも透明になりそうな、その淡い輝き。真一郎くんは薄いみどり色だった。人と距離を置いてふらふらと輝いていた。おばあちゃんは強く光るえんじ色。大地に根付いた魔王の色だった。あまりまわりにぽわんと広がっていない、夜空の星によく似た光だった。」

 吉本ばなな 『王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法』 2004年、新潮社
 
『王国 その2』で展開されるこの「光」のイメージは、性の多様性について説明する際に用いられる「グラデーション・モデル」とも重なるものである。グラデーション・モデルとは生物学的性差、社会・文化的性差、性自認、性的指向の4層それぞれを独立したものと見なすというものである。吉本ばななのライフワークとも称される『王国』シリーズは『王国 その1 アンドロメダ・ハイツ』、『王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法』、『王国 その3 ひみつの花園』、『アナザー・ワールド 王国 その4』の四作品によって構成される。山奥で祖母に育てられた雫石と街で出会った同性愛者の占い師、楓、そのパートナーの片岡さんの三角関係を描く。
 
12
「わたしが両手をひろげても、 お空はちっとも飛べないが、 飛べる小鳥はわたしのように、 地面(じべた)をはやくは走れない。
わたしがからだをゆすっても、 きれいな音は出ないけど、 あの鳴る鈴はわたしのように、 たくさんなうたは知らないよ。
鈴と、小鳥と、それからわたし、 みんなちがって、みんないい。」

 
金子みすず「わたしと小鳥とすずと」
 
大正時代末期から昭和時代初期にかけて活躍した童謡詩人である金子みすずの代表作の一つ。自然とともに生き、小さな命を慈しむ思い、命なきものへの優しいまなざしが、金子みすゞの詩集の原点と言われる。

「わたしと小鳥とすずと」は、病に苦しみ、夫に子供のために詩の創作を禁止された際、その仕打ちに対し悲しみの抗議をしたような作品である。
みんな違うが、みんなあるがままの尊い存在なのだと、彼女は唄うのである。

13
「…核戦争をするという話ではない。ウイルスをまき散らそうという話でもない。ただ、愛し合う二人に権利を与えようとしているだけなんだ。
僕には問題点が分からない。お金はかからない。なぜこの法案に反対するのかが分からない。
人が嫌いなものを持つと言うのは理解できる。我々はみんなそうだからだ。
だから今、約束する。明日いつも通り太陽が昇るということを。」

 
ニュージーランドの政治家モーリス・ウィリアムソン氏(Maurice Williamson)が行った同性婚についてのスピーチ、2013年
 
これは、首都ウェリントンの議会での「婚姻平等法案」の最終審議と採決の際に行った力強くもユーモアのあるスピーチの中の一部である。
反対派はこの法案が及ぼす社会への影響を心配していたが、彼はこの法案が可決しても明日からいつもの日常が変わらずやってくると返した。この演説後、ニュージーランドはアジア太平洋地域で初めて同性婚を合法化した。
 
14
「女のコの友だちと来ていれば、「見よう、見よう」となったかもしれない。しかし、ここは 男友だち。SMAP に固執していては「?」となることはわかっている。「ファンなの?」な んて言われたらたまらない。中居くんや木村くんに後ろ髪引かれる思いで、絶叫する女のコ に最前列を譲ったのだった。 」
 
石川大我『ボクの彼氏はどこにいる?』、2002年、講談社
 
当時中学生の筆者は、自分の気持ちが「同性愛」ではないかと気づき始める。決して誰にも言えない秘密を抱え、悩んでいた。「ボクは異常性欲の持ち主だ。でも、思春期が過ぎればきっと『治る』さ。」「好きとか恋とかいった感情について、判断停止状態にしておこう。」 そう考えた彼だったが、中学生の会話と言ったらその話題。ある日偶然、まだ駆け出しの SMAP を 5 メートルの近さで見ることができたのに、男性アイドルを好きなことが友人にバレないよう、泣く泣くその場を去った。男友達と同じく、女性アイドルを好きなふりをし、 「スムーズな人間関係」を保とうとする毎日であった。
 
15
「しかし、困ったことに修学旅行は泊まりの行事。夜、友だちと同じ部屋で寝なくてはならない。そう考えたとき、ボクは「寝言で何か言ってしまったら…」ということで頭がいっぱい になった。「もし寝言で『あっく〜ん』って言ったらどうしよう」そう考えると楽しみだった金閣寺も奈良公園の鹿も、どうでもよくなった。 」
 
石川大我『ボクの彼氏はどこにいる?』、2002年、講談社

光 GENJI の大ファンであった筆者。修学旅行で友人と同じ部屋で寝ることに対して大きな不安を抱えていた。大好きなメンバーの「あっくん」の名前を寝言で言ってしまったら、男性が好きだという気持ちまでバレてしまうかもしれない。初めは「寝ない」という作戦をとっていたが、2 泊 3 日の日程はさすがにもたない。「みんなが寝静まるまで待つ。誰よりも早く起きる。」という作戦に変更し、恐る恐る眠りについたのであった。
筆者である石川大我氏は現在、立憲民主党参議院議員。前豊島区議会議員(2 期)。日本で初めて公職に選出された「オープンゲイ」の議員として知られる。

16
「私はこの世にひりつくような或る種の欲望があるのを予感した。汚れた若者の姿を見上げながら、『私が彼になりたい』という欲求、『私が彼でありたい』という欲求が私をしめつけた。 」
 
三島由紀夫『仮面の告白』、1949年、新潮文庫
 
5 歳の「私」が、汚穢屋(糞尿汲取人)の若い男の姿を見た時の心情である。この欲求には 2 つの重点があったという。一つ目は彼の紺の股引。彼の下半身を明瞭に輪郭づける股引は 「私」を強く惹きつけた。二つ目は彼の職業。汚穢屋という職業に対して、「悲劇的なもの」 を感じた。「私」の官能がそれを求めしかも私に拒まれている場所で、私に関係になしに行われる生活や事件、その人々。これが「私」のいう「悲劇的のもの」の定義であるという。 この場面は「私」が同性愛に目覚めた最初の記憶である。
 
17
「そうすれば、園子への心の接近を、頭から贋物だと考えたがるこの感情は、実はそれを真実 の愛だと考えたいという欲求が、仮面をかぶって現われたものかもしれなかった。これでは 私は自分を否定することさえ出来ない人間になりかかっているのかもしれなかった。 」
 
三島由紀夫『仮面の告白』、1949年、新潮文庫
 
友人の妹である園子の美しさに惹かれ交際を始めた「私」だったが、彼女を好きだという事実は自身の「正常さ」を身につけるためだった。園子を思い浮かべると、他の青年だったら どう感じるのだろう、正常な人間だったらどう感じるのだろうという強迫観念が「私」をいつも責め立てるのだった。
 
18
「その唇は稚なげで美しかったが、依然私の欲望には想えなかった。しかし私は刻々に期待を かけていた。接吻の中に私の正常さが、私の偽わりのない愛が出現するかもしれない。機械 は驀進していた。誰もそれを止めることはできない。私は彼女の唇を唇で覆った。一秒経っ た。何の快感もない。二秒経った。同じである。三秒経った。-私には凡てがわかった。 」
 
三島由紀夫『仮面の告白』、1949年、新潮文庫
 
海軍工場へ帰る日が近づく中、まだ「私」は自分に課した「接吻」の義務を果たしていなかった。この場面は、入念に想像した園子との接吻の演出を実行する場面である。この「演出」 に忠誠を誓った「私」であったが、そこに愛も欲望もあったものではなかった。何の快感も感じられなかった「私」は平然を装ったが、彼の心は確信した。

1949 年に出版された三島由紀夫の『仮面の告白』は人と違う性的傾向に悩み、生い立ちからの自分を客観的に追及する「私」の告白の物語である。当時としては珍しい同性愛をテーマにしたこの作品は大きな話題を呼び、24 歳の三島を著名作家にした。

19
「はじめておめかしするとき、たぶん多くの女の子はじぶんが「女装」しているような気分になるのだろう。いや、おとなになってもそうかもしれない。でも「女装」を強いるひとたちがいる。まわりにいっぱいいる。そしてそれをしかたなく、くりかえし受け入れているうちにじぶんは「女」になっていった。大股であるけなくなっていった。」
 
鷲田清一『じぶん・この不思議な存在』、2017年、講談社現代文庫
 
他者ありきの自己(自分という存在は他者を通してしか認識・確立できない)だが、他者が他人の自己を「こうあるべきだ」と強いるため、自分にとっての本当の自己の姿が他人によって分からなくなってしまう。
 
20
「自分のほんとう

ほんとうのことは 人生と同じだけの
時間がかかるから 説明できないけれど
こうして生きていることは まちがいないので
それだけはほんとうです。 誰でも
ほんとうのことは 自分しか知りませんでした。」

 
さくらももこ『まるむし帳』、1991年
 
『ちびまる子ちゃん』の作者であるさくらももこの詩である。本当の自分をさらけ出して生きようや様々な人を尊重しようと言った前向きなメッセージを押し出しているのではなく、自分の中の本当の自分は自分だけが知っているんだよ、と言う、どんな自分でも否定しない、ある意味前向きに『自分』という存在を詠っている。
 
21
「…単に想像上の産物なのではなく、現に存在するということです。」
 
森山至貴『LGBTを読みとく: クィア・スタディーズ入門』、2017年、ちくま新書
 
「LGBT」および性の多様性を研究する学問「クィア・スタディーズ」の概要についての本。森山は「LBGT」という言葉の説明だけでなく、その歴史や現在の状況まで広く述べ、セクシャルマイノリティの人々を理解するためには「知識」がもっとも重要であると主張する。
 
22
「さて僕はなにを差別しているんだろう。どなたか教えてくれますか」
 
23
「僕は化け物でもなんでもない。普通の人間だ。ほかのみんなと同じように感じ、同じように行動する。しかしそのちょっとしたちがいが、ときには無限の深淵のように感じられることがある。」
 
村上春樹『海辺のカフカ(上)』、2002年、新潮社
 

小説家・村上春樹が2002年に発表した長編小説『海辺のカフカ』からの一節。主人公が通う私立図書館に勤めるトランスジェンダーの「大島さん」が、フェミニストの女性団体に対する反論を行うシーンからの抜粋である。
女性たちは「大島さん」を男性とみなし批判をぶつけるが、「大島さん」は自身のセックス観についても赤裸々に触れ、女性として生まれたが男性として振舞っており、また性交渉の場ではゲイであると告白する。
身体と心の性が必ずしも一致しないこと、外見がいかに表面的な情報しか表していないのかということを示す場面である。

【映像】


『キャロル』
2015年/アメリカ、イギリス
監督 トッド・ヘインズ
原作 パトリシア・ハイスミス
 
1952 年、ニューヨーク。高級百貨店でアルバイトをするテレーズは、クリスマスで賑わう おもちゃ売り場で、不思議な魅力のあるキャロルと出会う。彼女らはお互いに惹かれ、愛し合うが、次第にキャロルの美しさに隠された本当の姿を知ってしまう。交わされる言葉以上 に視線や表情に惹き付けられる、美しくも虚しい愛の物語。
 

『美女と野獣』実写版
2017年/アメリカ
監督 ビル・コンドン
脚本 スティーヴン・チョボスキー、エヴァン・スピリオトポウロス(英語版)
 
ディズニーの名作を実写化したファンタジーロマンス。「人と違う」ことを受け入れ、かけがえのない自分を信じるベルと、「人と違う」外見に縛られ、本当の自分の価値を見出せずにいる野獣の物語。原作には登場しないが、今回ディズニーでは初となる LGBT のキャラクタ―(ル・フウ)が描かれたことで話題を呼んだ。
 

『アデル、ブルーは熱い色』
2013年/フランス
監督/脚本/製作 アブデラティフ・ケシシュ
原作 ジュリー・マロ『ブルーは熱い色』
 
教師を夢見る女子高校生、アデルは、運命的に出会った青い髪の女性画家、エマの知性や独特の雰囲気に惹かれ、二人は情熱的に愛し合うようになる。2013年公開のフランス恋愛映画である。激しい性愛描写が観る人に「美」を意識させることだろう。
 

『プリシラ』
1994 年/オーストラリア
監督 ステファン・エリオット
 
個性あふれる3人のドラッグクイーンが、真実の愛を求めてバス「プリシラ号」で旅をするコメディロードムービー。
80年代のディスコサウンドやアカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞した衣装にも注目したい。

5
『ボヘミアン・ラプソディ』
2018年/イギリス、アメリカ
監督 ブライアン・シンガー、デクスター・フレッチャー
 
イギリスのロックバンド「Queen」ボーカル、フレディ・マーキュリーを主人公とする2018年公開の伝記映画。自身のセクシュアリティと向き合うフレディの姿が一つのテーマになっており、結婚・離婚・新しいパートナーとの出会いがフレディの人生を変化させていく様子も描かれている。
 
6
『キル・ユア・ダーリン (Kill Your Darlings)』
2013年/アメリカ
監督 ジョン・クロキダス

ビートジェネレーションを代表するアレン・ギンズバーグの学生時代を彼の身近で起きた殺人事件を背景に描いた2013年のアメリカ合衆国の伝記映画。学生生活を通した男の友情と、友情以上の感情がテーマになっている。
 
7
『ズートピア』
2016年/アメリカ
監督 リッチ・ムーア、バイロン・ハワード
 
2016年に公開された、ディズニー制作のアニメ映画。
人間のいない、動物たちだけの世界が舞台となる。そこは現在、我々が暮らしているような、高度な文明を持つ社会であり、肉食、草食の区別などなく、さまざまな種類の動物が共存している。
 

『Brokeback Mountain』
2015年/アメリカ
監督 アン・リー
原作 E・アニー・プルー
 
原作はE・アニー・プルーの同名の短編小説。アメリカ中西部を主な舞台として、1963年から1983年までの20年間にわたる、惹かれ合う2人の男性の姿を描く。
まだ同性愛者への差別や偏見が根強かった1960年代のアメリカ中西部を舞台に、カウボーイ・カップルの一途な愛を描く。許されぬ愛に苦悩する2人が繊細に表現されており、ゲイ映画というよりはストレートなラブストーリーとして胸を打たれる秀作である。

9
『惜春鳥』
1959年/日本
監督 木下惠介

福島県を舞台に、離れ離れになっていたかつての級友たちが、東京の大学に進学した仲間の帰郷をきっかけに再会する物語。
青年たちの親密な関係を示すシーンが多く、日本初のゲイ映画ともいわれる。また監督の木下はホモセクシュアルで、同性婚が認められていなかったことでパートナーを養子にとっていた。

【オブジェ】

1
ラベルの張り替えられたクレヨン
絵本『「レッド」あかくてあおいクレヨンのはなし』に出てくるクレヨンを再現。
本書では、本当は青いクレヨンなのに赤いラベルを貼られた「レッド」の物語で、多様性をクレヨンの色で表現するアイデアが年齢を超えて理解され、自分自身を発見することがいかに大切かを話し合うきっかけとなる絵本である。

『「レッド」あかくてあおいクレヨンのはなし』
マイケル・ホール(著) 上田勢子(訳) 2017 子どもの未来社
 
2
『にじいろのしあわせ(Marlon Bundo)』Marlon Bundo, Jill Twiss 著(2018年)
もともとマイク・ペンス副大統領の妻と娘によって作られた絵本、「副大統領のある一日(Marlon Bundo’s Day in the Life of the Vice President)」が元になっている。
ペンス副大統領は、LGBT政策・権利拡大に対し反対姿勢をとっているため、これを皮肉って作られた。全米80万部を超える大ヒットを記録している。
この本では、マーロン・ブンドというオスのウサギが主人公。ペンス副大統領一家が実際に飼っていたウサギがモデルになっており、そんなマーロンの「普通」の恋が描かれている。
 
3
透明なグラス
透明なグラスは、注がれる飲み物の色に応じて、グラスの色を変える。
トマトジュースを注げば赤になって、緑茶を注げば緑になる。
元あった透明が注がれるものによって、その色に変わることから、先天的なものよりも後天的なものの方がもたらす影響力という点では大きいと言える。
性に関しても、生まれたときの性別よりその後に身につく後天的な要素がその人の性を言い表す上で重要となる。
 
4
中身が違うマトリョーシカ
女の子の中に小さな女の子、その中にまた小さな女の子が入っている人形。女の子は女の子らしくという概念を崩し、中に様々なものを入れることにより性の多様性を表現した。
 
5
ラブリュス(両刃斧)
ラブリュス(両刃斧)は古代に家母長制の特質があったともされるクレタ島ミノア文明において使われたシンボルである。現代では1970年代以降はレズビアンの象徴や、フェミニストの力強さのシンボルとして使われている。
 
6
ペンギンのぬいぐるみ2つ
今年夏にベルリンの動物園で、二羽のオスペンギンが卵を温めたり巣を作ったりするなど、協力して「子育て」の準備をし始めたという。
普通オス・メスで「子育て」をするペンギンではあるが、同性の二羽が協力しているということにインスピレーションを受け、その様子をぬいぐるみで表現した。
 
『ペンギンの同性カップル、卵を温め子育て態勢 ベルリン動物園』、CNN、2019年8月14日、 https://www.google.co.jp/amp/s/www.cnn.co.jp/amp/article/35141273.html
 
7
顔を隠した人形
トランスジェンダーによるトランスジェンダーのためのファッションブランド「ゴーゴー グラハム(GOGO GRAHAM)」のファッションショーからインスピレーションを得た。このブランドは、胸や男性器に手を加えた女性、加えてない女性など、それぞれ異なる体を持つトランスジェンダーに手を差し伸べるブランドである。モデルに全員トランスジェンダーを起用した、ショーでは、モデル達が布を被り、顔を隠す姿は、顔でその人を判断するステレオタイプを表している。
 
『トランスジェンダーによるトランスジェンダーのためのブランドがNYコレに参加 多様性の街を象徴』、WWD、2019年2月11日、https://www.wwdjapan.com/articles/792855
 
8
漢字
女偏の漢字にはネガティブな意味を持つものが多い。例えば、嫉(ねたむ)、姦(うるさい)。女性蔑視を汲み取れるものもある。例えば、始(女を台にしている)、姑(女が古い)。漢字を使う言語によって、表意文字なこともあり、文字を通して、何千年も前に生まれた封建社会の思想、イデオロギーが反映されていることに気付かされる。文字文化に潜む女性差別を無意識に受け入れていることを改めて考え直さねばなるまい。
ここではオリジナルの漢字を創作した。男偏の漢字は存在しないため、それを使った漢字と女偏の漢字を作った。
 
9
眼鏡
今年11月頃、特定の職業で女性の眼鏡着用が禁止されているという書き込みがネットで話題になった。安全性の問題、「暗い印象を与える」、「冷たく見える」など理由はさまざまであるようだが、疑問を持つ女性は多く議論が巻き起こった。

『女性はメガネ禁止?』、NHK NEWS WEB、2019年11月8日、https://www.google.co.jp/amp/s/www3.nhk.or.jp/news/html/20191108/amp/k10012169991000.html

10
ルービックキューブ
6色の面を持つ、世界中で愛されているおもちゃ。
色を混ぜてから最初の姿の再現を目指していくが、この色を「性の多様性」に見立てると様々な解釈ができると考えた。完成形は本当に正しいといえるのだろうか。

11
古代ギリシアに作られたといわれる壺(再現)
壺絵には、売春婦パラケと区別なく、奴隷少年が「受け入れる」性交の光景をあからさまに描かれている。ギリシア古典の権威が、法律から落書までを徹底的に調べ上げ、古代ギリシアの同性愛の謎にせまった本書では、同性愛と異性愛はどのように共存していたのか、道徳の問題、美的感覚の問題、そして同性愛の作法まで克明に描きだしている。
 
『古代ギリシアの同性愛 GREEK HOMOSEXUALITY 新版』
(K.J. ドーヴァー著、中務哲郎・下田立行訳、青土社)

12
バルーンアートのパフォーマンス
芸術家ジェフ・クーンズの代表作『バルーン・ドッグ』シリーズ(1994-2000)からインスピレーションを受けた。
クーンズは1989年、妻であったポルノ女優・政治家の「チッチョリーナ」ことシュターッレル・イロナと自分自身をモデルとして『メイド・イン・ヘヴン』シリーズを発表した。二人の性生活を題材としたこの作品は、ポルノ同然ともいえる露骨な表現が多く、激しい論争を巻き起こした。
 
13
三島由紀夫『仮面の告白』(1949年)を参考にした、鏡と水槽のオブジェ
「私は無益で精巧な一個の逆説だ。この小説はその生理学的証明である」と作者・三島由紀夫は言っている。女性に対して不能であることを発見した青年は、幼年時代からの自分の姿を丹念に追求し、”否定に呪われたナルシシズム”を読者の前にさらけ出す。同性愛の苦悩を描いたこの作品は、三島の自伝とも言われる。
 
14
シメオン・ソロモン『バッカス』(1867年) 模写
19世紀末の画家、シメオン・ソロモンの代表作の一つを模写した。
ソロモンはラファエロ前派に属する優れた芸術家であったが、同性愛者であったがゆえに逮捕され、家族や仲間たちから避けられてしまった「悲劇の画家」として知られる。
バッカス(ディオニューソス)はギリシア神話に登場するワインの神である。ソロモン以外にもミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオなどの画家がモチーフとして描いているが、中性的に描かれた作品が多い。
 
15
iOSの絵文字模写
2016年に登場したiOSの「LGBT絵文字」をいくつか模写した。
Apple社はあらゆる分野での多様性に対応する絵文字のバリエーションを増やしており、これら「LGBT絵文字」はその取り組みの一環であった。現CEOのティム・クック氏がゲイであったり、LGBTパレードへ積極的に参加していたりするなど、Apple社はこのトピックと深い関わりを持っている。
 
『Apple、最新iOSに絵文字を多数追加。LGBT関連などジェンダーの多様性を考慮したデザイン』, Made In Gender, http://madeingender.com/?p=651
 
16
ピンクに塗られた「とまれ」
ピンクの三角形、ピンクトライアングルはホロコーストで強制収容された者に装着が義務付けられていた三角形の識別胸章のうち、男性の同性愛者を表したものである。これに使用されたラベンダー・ピンク色は、現在では性的少数者(LGBT)のプライドや権利を象徴するシンボルとして生まれ変わっている。
今回は身近な「とまれ」の標識をピンク色で塗ることで、現代日本におけるピンクトライアングルの再現を試みた。
 
『ピンク・トライアングルの男たち―ナチ強制収容所を生き残ったあるゲイの記録 1939-1945』(ハインツ・ヘーガー著、伊藤明子訳、パンドラ/現代書館、1997年)
 
17
パズル
全て異なる色で塗られたピースで性の多様性を表現した。
性は男性・女性の二つに分けられるものではなく、またLGBTという言葉も、全てのセクシャルマイノリティの人に当てはまるものではない。色の種類が無限に存在するように、性は人によって異なるものであるといえる。
 
18
ピクトグラム
トイレを示すピクトグラムをさまざまな色を混じり合わせて塗り、特定のピクトグラムでは表現できないような性も表そうと試みた。
ピクトグラムは見てすぐに理解しやすいという長所があるが、それはものひとつひとつの個性を無視し均一化してしまっているともいえる。そこで色の組み合わせと塗り方を工夫し、欠点の改善を図った。
 
19
吉本ばなな『キッチン』(1988年)
小説家・吉本ばななのデビュー作。二度映画化されており、人気のある作品である。
祖母を亡くした主人公・みかげは、祖母の行きつけの花屋でアルバイトしている田辺雄一に声をかけられ、田辺家に居候するようになる。主要人物として、性転換して女性になった雄一の「母」えり子が登場する。

20
モジホコリの絵
動物・植物両方の特徴を併せ持つ変形菌の一種であるモジホコリは、性別が720種類あり、分裂・融合を繰り返すというユニークな特徴を持つ。
その特異な生態が注目され、フランス・パリ動物園で一般公開が行われている。

『性別は720種類、脳がないのに学習 特異な生命体、パリ動物園で一般公開』、CNN、2019年10月18日、https://www.google.co.jp/amp/s/www.cnn.co.jp/amp/article/35144149.html

21
紙袋
コンビニやスーパー、ドラッグストアで生理用品を買うと、わざわざ別に分けて紙袋や黒い袋に入れてくれる。これは当たり前だと考えられているが、その必要はないと考える女性も少なからずいる。 
ゼミ長は個人的な意見として、特に恥ずかしいものでもないのでいらないと考えている。

22
Judy Garland『Over the Rainbow』
ミュージカル映画『オズの魔法使い』(1939)劇中歌の一つ。 主人公ドロシーが、子守歌で聞いた「虹の向こう側」の世界を想像して歌う。
今回展示会場では、BGMとしてこのレコードを流していた。

23
ヘアピン
1969年、ニューヨークのゲイバー「Stonewall Inn」にて、捜査に訪れた警察官に対し、客として居合わせたセクシャルマイノリティの人々が立ち向かい、数日間にわたって暴動を起こした。これは「ストーンウォールの反乱」と呼ばれる。
当時、同性間性交渉の禁止を定めた「ソドミー法」の存在などにより、セクシャルマイノリティの生活は非常に自由度の低いものとなっていた。この暴動はそのような状況下において「初めて抵抗した」事件として、現在は一つの象徴のようになっている。
暴動の最初に警察に向かって投げられたものがヘアピンであったという逸話が残っている。
 
24
写真(映画『ヴェニスに死す』(1971年)より)
映画のワンシーンを撮影した写真。ある老作曲家がヴェニスでポーランド人貴族の美少年に出会うというストーリーである。
同性愛に関する明確な言及はないが、ポーランド貴族タジオ(ビョルン・アンドレセン)の美しさは性別を超越しているのではないだろうか。

25
映画『カランコエの花』(2018年)ポスター
東京レズビアン・ゲイ映画祭でグランプリを受賞した、2018年公開の映画。
映画でテーマとして取り上げられることが増えたセクシャルマイノリティとの向き合い方について、高校生の姿を通して問いかける。

11月20日 ギアをあげています

こんにちは。3年山本です。また投稿が遅くなってしまい、申し訳ございません。

言い訳になってしまいますが、学会2週間前ということで非常に多くのタスクを抱え込んでおり、ブログのことを忘れかけてしまいました。仕事の合間に頑張って書きます。

今回のぜんまいは、時間がないので無しになりました。学会が終わるまでしばらくお休みになるかと思います。

ゼミも学会まで残り3回になってしまいました。
それでも1ヶ月前にはまだテーマが漠然としていたと思うと、よくまとまったなと感慨深くなります。

今回稲垣ゼミからは四つの作品を出展します。映像部門に個人で二つ、インスタレーション部門に全体で二つです。後者にはずっと検討していた新作のほか、中之条ビエンナーレに出展した作品も持っていきます。

ネタバレになってしまうため詳しいことは言えませんが、それぞれについて相談したり検討したり、決定したりしていました。

映像作品のプレゼンテーションについて先生がアドバイスをくださったり…
(アート作品の紹介メゾットとして勉強になりました。悲しいですが、みんながアートを快く理解してくれるわけではないと思うので、こちらの工夫も大切です。)
荷物を持って移動して…
教室に実際に並べたりしました。
中之条ビエンナーレではよい反応をいただけましたが、学校ではどうなるか期待と不安があります。
1回目の展示から工夫して、さらに洗練させていきたいです。

現在ゼミの時間外でも、ゼミ生がそれぞれ準備を行っています。どれもユニークなものになりそうで、今から展示するのが楽しみです。

楽しく頑張っています。

11月13日 今回の作品についてほのめかし

こんにちは。3年の山本です。最近更新が遅くなってしまっているので、気をつけたいです。

今回は学会に出す作品の制作物と展示空間について考えたので、それについて書きます。

ぜんまいは4年のぱらきんさんの担当でした。

今回はなんと紙芝居の実演でした。
ぜんまいでは10分以内であれば、トピックを紹介するだけでなく、みんなを巻き込んで実演することもありです。この前の早口言葉もそうです。
聞く方も真剣です。
みんな自然と前に集まってきました。紙芝居を見ると童心に帰るものです。

ここ2週間くらいで、テーマについて考察する時間がゼミ以外でもかなり増えました。

個人的な話ですが、自分は今回のテーマについて基礎的なことしか知りませんでした。しかし調べていくうち、小説や映画などで取り上げてられているケースがかなり多いということがわかりました。

私たちは今回、その大量のオブジェクトたちを収集したいと思っています。私たちが言葉でぜんぶ説明するのではなく、それらに語ってもらうのも面白いのかなと考えています。

つかれましたね。
展示空間がだいたい決まりました。
どうなるかは秘密です。

学会応募書類も提出して、やることがはっきりしてきました。今回はたくさん作品が出る予定らしいので、ほかのところも楽しみにしつつ、クオリティを上げられるように頑張っていきたいです。

11月6日 実のところ機密事項が増えている

こんにちは。3年の山本です。

今回は議論に熱中するあまり写真があまり撮れなかったので、少し短めになってしまいますがよろしくお願いします。

ぜんまいは4年生のあきさんの担当でした。

話題はリオのカーニバルについて。
私のSA先だったドイツにも有名なものがいくつかありますが、その時期にはすでに帰国してしまいました。寒そうだけれどいつか見てみたいです。

いよいよ具体案を決める頃になってきました。宿題として展示のやり方を考えてきていたので、最初にそれらを共有しました。

1人3案出しました。10人なので計30個もアイデアがあります。考えるのにも説明するのにも一苦労です。
まだまだぼんやりな段階。

アート作品は中身も重要ですが、外観もかっこよく作らなければなりません。(個人的にはやっぱり多くの人に見てもらいたいです) 展示はもちろん、タイトルや応募書類の文面もそうです。

それでもみんなで作るので、それぞれの良いところを組み合わせることもできます。チーム戦の良いところです。

この頃帽子が流行っています。

次回は制作するものを決めていきます。写真撮影も忘れないようにしたいです。

10月30日 あらためて目標にむけて

こんにちは。3年山本です。

今回のゼミも学会作品の構想を練っていました。

今回のぜんまい担当は4年生のともえさんでした。

テーマは阿波踊り。長らく経験者のともえさんがとてもわかりやすく説明してくれて、YouTubeの動画もたくさん見せてくれました。
私はバレエ経験がありますが、日本の伝統的な踊りも機会があったらやってみたいです。

前回決めたスケジュールに従い、今回は制作物をブレインストーミングすることにしました。チーム分けはまだやったことのない2人づつです。

会場図面を書くため、先生に改めて教室をチェックしていただきました。
いつもの無機質な部屋をどのような「作品にするか」想像が膨らみます。
話し合っている様子。チームごとで白熱するあまり、教室がすかすかです。
しかしとにかく難しいテーマで…
それぞれのアイデア(表現方法)は良いものの、なんとなく惜しいといった感じ…
もっと知識が必要かもしれません。また、そもそもテーマにいくつか選択肢が出てきてしまいました。

扱うテーマはかなり研究し尽くされていて、熟考と勉強の必要さを実感しました。あまり軽い気持ちでやると、太刀打ちできないかもしれません。

ネタバレになってしまうため本番までのお楽しみですが、既知のものということで、新しい観点の作品ができれば面白いのではないかと今からわくわくしています。

雄弁な副ゼミ長。

やるべきことはたくさんありますが、目標に向けてしっかりと取り組んでいきたいです。

10月23日 キャンパスさんぽ

こんにちは。今回のゼミでは教室を出て、キャンパスのさまざまな場所に行ってきました。

ぜんまいは4年生の御厨さんの担当でした。

テーマは早口言葉。御厨さんが用意したものにみんなでチャレンジしてみました。
私は滑舌が悪いので難しく感じました…

話し合いを始めようとしましたが、あまりうまく進みません。たまには外に出たいということで、学校内を散策することにしました。

ボアソナードタワー26階からの景色です。
この日は人数が少なめでした。
富士見ゲートの庭園に来ました。
メンズは人数が少ない分とても仲良しです。
富士見坂校舎外の階段です。
左から大内山校舎、ボアソナードタワー、富士見ゲート。
大内山校舎は今年出来たばかりで、ユニークな外観が特徴です。

疲れてきたので食堂に行き、展示物の案を出し合いました。いくつか有力なものが出て、テーマの方向性も定まってきました。

最後に本番までのスケジュールを相談。
やることが多く、かなりギリギリです。

普段と違う環境のおかげでリフレッシュすることができました。教室での話し合いが多いゼミですが、外に出ることの大切さを実感しました。次回も頑張りたいです。